成人の4分の1以上が「何らかの精神疾患を抱えている」

成人の4分の1以上が「何らかの精神疾患を抱えている」アメリカでこれから展開されるのはファシズム化か単なるディストピアか

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最悪のメンタルヘルスの状況の中で

アメリカの作家であるマイケル・スナイダーさんが、「私たちの社会が完全に狂っていることを示す10の例」というタイトルの記事を投稿していました。

10個のアメリカの報道などを取り上げているものですが、まあ、全体的には「完全に狂っている」とまでは言えないようなものが多く、つまり犯罪が増えているとか、児童虐待が増えているとか、そういうような報道の数々ですね。

それを言ったら、日本のほうが狂ってるかもしれず、今日見た「特殊詐欺とSNS投資詐欺、ロマンス詐欺の2025年上半期の被害額が大阪だけで110億円に」などという報道などは、もう荒みきったものではあります。

日本でも、「ホントにカリ・ユガだなあ」とつくづく思う出来事が多いです。カリ・ユガは、ンド哲学での「悪徳の時代」とされるもので、4つの時代の中で最も悪い時代だとされています。カリ・ユガの時代は、天文学的には、紀元前 3102年に始まったそうですが、

「カリ・ユガは 43万2000年続くと考えられている」

書かれていますので、まだ 42万年ほど続きますね(苦笑)。

長いこと長いこと。

話を戻しますと、マイケル・スナイダーさんが挙げていた報道の中で、最も印象的だったのは、

「専門家たちは今や、アメリカの人口の 4分の 1以上が精神疾患を患っていることを認めている」

というものでした。

出展は、米ジョンズ・ホプキンス大学医学部の資料です。正確には、「アメリカの成人の 4分の1」です。

これはかなり衝撃的な数字ではあるのですが、ジョンズ・ホプキンスの資料をまずご紹介します。


精神疾患に関する統計

Statistics related to mental health disorders
hopkinsmedicine.org

以下は、国立衛生研究所の一部である国立精神衛生障害研究所から入手可能な最新の統計です。

・精神疾患は、米国などの確立した市場経済国や世界中で、障害の上位の原因のいくつかを占めており、大うつ病(臨床的うつ病とも呼ばれる)、躁うつ病(双極性障害とも呼ばれる)、統合失調症、強迫性障害などが含まれます。

・18歳以上のアメリカ人の約 26%、つまり成人の 4人に1人が、ある年、診断可能な精神障害を患っていると推定されています。

・多くの人は、同時に複数の精神疾患を抱えています。特に、うつ病は薬物使用や不安障害と併発する傾向があります。

・毎年、18歳以上のアメリカ人成人の約 9.5%がうつ病(重度のうつ病、双極性障害、または気分変調症)に罹患します。

・女性は男性の約 2倍の確率でうつ病を発症します。しかし、双極性障害を発症する確率は男女で同程度です。

・重度のうつ病はどの年齢でも発症する可能性がありますが、平均発症年齢は 20代半ばです。

・双極性障害は、ある年、18歳以上のアメリカ人の約 2.6%に影響を及ぼし、躁病エピソードが初めて発症する平均年齢は 20代前半です。

・自殺する人の大半は診断可能な精神障害を抱えており、最も一般的なのは、うつ病または物質使用障害 (※ 薬物を継続して使用すること)です。

・自殺する男性は女性の 4倍です。しかし、自殺を試みる頻度は女性の方が男性より高くなっています。

・米国における自殺率が最も高いのは、85歳以上の白人男性です。しかし、自殺は 15歳から 24歳の青少年や成人の主要な死亡原因の一つでもあります。

・アメリカ人の約 1%が統合失調症に罹患しています。

・多くの場合、統合失調症は男性では 10代後半から 20代前半に初めて発症します。女性では、20代から 30代前半に初めて発症することが多いです。

・18歳から 54歳までの人の約 18%が、ある年に何らかの不安障害を抱えています。不安障害には、パニック障害、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、全般性不安障害(GAD)、恐怖症(社会恐怖症、広場恐怖症、限局性恐怖症)などがあります。

・パニック障害は典型的には思春期後半または成人初期に発症します。

・強迫性障害の最初の症状は、多くの場合、幼少期または青年期に始まります。

・全般性不安障害はいつでも発症する可能性がありますが、リスクが最も高いのは小児期から中年期の間です。

・強迫性障害の患者は、薬物使用やうつ病、摂食障害などの問題を抱えていることが多いです。

・社会恐怖症は典型的には幼少期または青年期に始まります。


 

ここまでです。

読みますと、精神疾患といっても「括りの幅が広い」ですので、4人に1人という数字もそれほど違和感はないような気もしますが、それでも、4人 1人が、メンタル的に健常ではないというのは病的ではあります。

とか何とか言って、私自身も、パニック障害、強迫性障害、PTSD すべてを持っていましたので、十分に病的な時代を過ごしていたのですけれど、このあたりに関しては、気質が関係する部分が強いので、寛解はしても根本から治ることはないと自分では認識しています

こういう病気を「根本から治しますよ」とか言う人は、悪意があるか、単に相手に無関心か、あるいは昨日の記事に出てきた「幻想や妄想に包まれている人」たちですね。

ちなみに、アメリカは子どもの健康状態やメンタルの状態も非常に良くない状態であることを記事にしたこともあります

まあ、病気自体の話はともかく、気になったのは、先日、アメリカの大統領が、

「薬物中毒者とホームレスをすべて精神医療施設に強制的に拘禁する」

という大統領令を発令したことで、以下で記事にしました。

 

薬物中毒者とホームレスを「すべて精神医療施設に強制的に拘禁する」という人間狩り的なアメリカ大統領令を読んで
In Deep 2025年7月26日

 

状況的には、いわゆる「強制入院」という形となるような感じですが、すでに大統領令として発令されているので、そのうち現実化していくのだと思います。

なお、アメリカ大統領は「アメリカ国民に対してのデジタル健康追跡システム」を導入することも昨日発表しています。「不健康人間狩り」ですね。

それはともかく、米メディア STAT に、今年 2月「医療従事者は厳しい選択に直面している:協力者になるか抵抗者になるか」というタイトルの記事が掲載されたことがありました。

トランプ政権になってから、医療施設や研究機関、大学などに対して、「政権の意思に沿わない組織に対しての予算の削減や撤廃」ということが次々と行われる中で、

「それに従うか、従わないか」

という医療従事者たちの選択について書かれていた記事でした。

記事全体は、長い上に、医療当事者たち向けの記事である側面も強いものでしたので、全体はともかくとして、この記事の中に、

「ナチス政権時代との比較」

を記している部分があり、そこが興味深い部分でした。

その部分をご抜粋して紹介したいと思います。

 


医療従事者は厳しい選択に直面している:協力者になるか抵抗者になるか

Health workers face a stark choice: become collaborators or resisters
statnews.com 2025/02/11

…ファシスト政権への先見的な服従と宥和は、保護されたエリート層の都合のために弱者を犠牲にする倫理的な茶番であるだけでなく、極めてナイーブであることを歴史は教えている。

病院や大学の管理者による戦略的協力主義の試みは、組織を守るどころか、組織が本来基盤としている理想の破壊を加速させるだけだ。そして、すでに明らかになっているように、医療行為、学術研究、大学の方針、そして公共の言論に対する統制をさらに強めようとするトランプ氏の試みを、さらに勢いづかせることになるだろう。

このような状況下では、架空の「中道」や「中道主義」に固執することは不可能だ。医療を拒否したり、標的集団への迫害を助長するよう求められている医療従事者たちは、協力者になるか抵抗者になるかという厳しい選択を迫られている。

…近代医学の歴史を通じて、権威主義体制や抑圧的な政府は、医師やその他の医療従事者に頼って、正当性の見せかけと、メス、注射器、ペン、あるいは単にドアに鍵をかけるといった武装をした医療従事者の協力を得て、必要な人々が医療を受けられないようにしてきた。

最も悪名高いのは、ナチス政権下で医師たちが、本質的には「ドイツを再び健康な国にする」という、大量断種 (※ 手術によって生殖能力を失わせること)と絶滅という優生学キャンペーンにおいて中心的な役割を果たしたことだ。

彼らの役割は徐々に始まった。当初は、多くの医師が特定の集団への医療を拒否するという要求に単に従っただけだった。

後に、これらの集団に対して強制的な断種手術を実施し始めた。間もなく、ユダヤ人やその他の民族的少数派、そしてクィア (※ 同性愛者)や政治的反体制派を積極的に特定し、逮捕して強制収容所に移送した。そこで医師たちはガス室送りの犠牲者を選び出し、野蛮な人体実験を行なった。

こうした事態が進行する中、ほとんどのアメリカ人医師は恥ずべきことに、この問題に対処したり非難したりすることをほとんどせず、最も権威のある医学誌にナチスの公衆衛生慣行を称賛する記事を掲載することさえあった (論文)。

米国の医療が正しいことをしなかったのは、これが初めてではなかった。

米国では、医療専門家がタスキーギ梅毒研究に参加し、黒人男性の治療を何十年も控え、病気の自然な進行を観察するという有名な事例がある。

同様に、1970年代に入っても、先住民女性やその他の有色人種女性をターゲットにした、複数の国家主導の強制不妊手術プログラムが実施され、医療従事者たちは抑圧された人々の基本的な身体的自律性を否定することに加担していた。

また、アメリカ医師会は数十年にわたって、病院での隔離医療と黒人医師の排除を支持し、2008年にようやく謝罪した。

1980年代、アパルトヘイト下の南アフリカの医師たちがスティーブ・ビコ氏 (※ 南アフリカのアパルトヘイト抵抗運動活動家)のような黒人反体制活動家に対する国家的な拷問と殺害に加担していたとき、アメリカ医師会は、世界中の他のすべての国立医学協会とは異なり、アパルトヘイト医療を終わらせるために南アフリカの医師を孤立させようとする世界的な取り組みに反対した。

近年では、国家暴力への共謀に対する私たちの脆弱性がほとんど変わっていないことを改めて示すように、アメリカの心理学者たちは CIA と協力し、グアンタナモ湾やその他の場所で「強化尋問」手続きを設計・実施した。

これは後に上院情報特別委員会によって、その正体である拷問と名付けられた。トランプ大統領が今、同じグアンタナモ湾に移民のための強制収容所を開設しようとしている今、私たちは国家暴力への共謀という、こうした忌まわしい遺産を忘れず、その繰り返しを許さないようにすべきだ。

フランツ・ファノン氏(※ アルジェリア独立運動で指導的役割を果たした精神科医であり革命家)は 1959年、医師は「人類の傷」を癒す存在として自らを位置づけているものの、しばしば「植民地化、支配、搾取の不可欠な一部」として機能していると指摘した。

また、国家が認可した抑圧の状況下では、私たちは構造的に医療よりも警察活動に同調する傾向があるとも指摘した。この現実に対抗するためには、私たちは病院管理者、保険会社、政府当局ではなく、自分自身に正直であり、同僚、患者、そして地域社会に対して責任を負わなければならない。

これは、フランスによるアルジェリア独立運動の暴力的な弾圧の際にファノン氏が描写した事実から見て取れる。

そして今日でもそれは変わらない。過去 16ヶ月間、アメリカ、ヨーロッパ、そしてイスラエルの多くの医師が、ガザにおけるイスラエルの戦争犯罪、特に病院の組織的破壊を受動的に、あるいは積極的に支持するという選択をしてきたことにも、この事実が反映されている。

これらすべての歴史から私たちが学ぶべき重要な教訓は、権威主義的なアジェンダが、自称ヒーラーの暗黙の、あるいは公然の協力なしに前進することは滅多にないということだ。

医師や看護師はあまりにも頻繁に「ノー」と言えなかった。それは、時には「ただ指示に従っているだけだ」と主張したから、時には収入減の脅威にさらされたから、そして時には、あからさまに、あるいは都合の良い無関心から、暴力的なイデオロギーを支持してきたからだった。

私たちは、こうした歴史を掘り下げ、現在アメリカ医療界に台頭しつつあるファシストによる侵略に対し、様々な形態の集団的不服従を含む効果的な対応戦略を策定すべきだ。

集団的な計画を伴わない英雄的な個人の自己犠牲は、有効な戦略とは言えない。患者を守るために行動すると同時に、互いを守るための調整、準備、そして相互扶助に早急に投資することが不可欠だ。


 

ここまでです。

この中の、

> 医師や看護師はあまりにも頻繁に「ノー」と言えなかった。それは、時には「ただ指示に従っているだけだ」と主張したから、時には収入減の脅威にさらされたから…

は、新型コロナにおける「医療的対策」や、その後のコロナワクチンの時の世界的な医療従事者が置かれていた状況と似ていますね。

以前、カナダのマーク・トロッツィという医師の方が、新型コロナの際に、体制側が、

「まず医師たちに対しての心理作戦を行っていた」

と述べていたインタビューを以下の記事で載せたことがあります。

最初から「医療の兵器化」を目的としたパンデミックとワクチンキャンペーン。そのために世界中の医師たちを服従させることからすべてが始まった
In Deep 2023年10月22日

 

トランプ氏の「強制治療」に関しての大統領令は、ナチスと比較するのは酷であるにしても、医療ファシズムがアメリカに台頭してくる可能性を示しています。

「そういうものと一切関わらない」として生きられるのが最も良い選択でしょうが、国家全体がその方向に進むと、その国民が単独で逃げられる可能性は低くなります。

これは、アメリカだけではなく、日本でも同じかもしれません。

しかし、それでも、「関わらない選択」はどこかにあるはずです。

(in Deep より)