令和の不平等条約

石破総理大臣は、アメリカのトランプとの交渉で関税を25%から15%に下げました。なかなかやるじゃんと思った方もあるかもしれませんが、実はこの合意はかなり日本にとってやばいものでした。 トランプに一方的に過にされた疑いが濃厚です。つまりこれは令和の不等条約といってもよいようなものでした。

日米合意が発表されたのは自民党が参議院選挙に惨敗した直後の、7月23日の午後でした。トランプが8月1日、発動を通告していた関税25%が15%に下がったという内容です。15%と言えどもこれまでの6倍。日本経済には大打撃なはずなのに最悪の25%を免がれたというだけで、株価は上がり、マスコミの報道を見ても経済会は歓迎ムードになっているように思われます。

その後トランプ政権から合意の詳細が次々に発信され、衝撃の実態が見えてきました。日本ではその合意内容の詳細が報道されていませんがトランプ政権の商務長官は、日本側との間で合意した内容について、これまでになかったような素晴らしい内容だと伝えています。まず最大の問題は合意文書がないこと。つまりこれは口約束です。今後も合意文書を作る予定はありません。それではこの合意が履行されなかった場合どうするのか。

トランプ政権は大統領が気に入らなければ関税が25%に戻るだけ。そう言ってるんです。つまり日本がアメリカの要求を拒否した途端、完税25%が一方的に適用されてしまうというものです。

衝撃なのは完税を25%から15%に引き下げる代わりに日本はなんと政府系金融機関がアメリカに5500億ドルを投資するというものです。日本円にして80兆円です。しかもこれどこに投資するかはアメリカが一方的に指定するのです。

例えば、アメリカの製薬会社が抗生物質を作るからここに金を出せ。軍事会社が新型ミサイルを作るからここにも金を出せというように、トランプ大統領の要求に対して、日本が資金を出すというものです。

もちろん投資が焦げつげば政府系金融機関ですから、最終的には私たち国民の負担となります。しかも利益が出てもその配分はアメリカが9割、日本が1割をいただくというものです。9割の利益はアメリカに持っていかれる。

一体なぜこんなことになってしまったのでしょうか

最大の範員は日米協議の日程闘争でトランプに完全に指導権を奪われたからです。石破総理は最側近の赤沢大臣を交渉役に指名し、これまで8回も訪米させてきました。この赤沢大臣は、最初から私は格下だからといってトランプに媚びへつらっていました。しかも日本がアメリカに一方的に呼びつけられるばかり。

石破政権は最初から見下されていました。

交渉日程はすべてアメリカペースで決まりました。トランプは関税25%への引き上げを一方的に通告し、参議院議員選挙直前の7月9日までが猶予期間だといったのです。参議院議員選挙直前に関税25%が発動されたら石破政権は大打撃です。それが嫌なら代わりに貢ぎ物を持ってこいよと言われたのです。

相手を脅してより有利な結果をもたらす。これがトランプ流のディールです。今回の合意は、アメリカ側からこれを受けたら許してやるぞ。そのように伝えられていた内容そのものでした。アメリカの狙いは適中しました。石破政権は大慌て。とにかく参議院議員選挙のさ中の発動だけは避けてほしい。ただでさえ苦戦が予想されているのにこれがとどめの一撃になってしまう。

石破氏は、日本国内では「なめられてたまるか」などと言ってはいましたが、実際にはアメリカの言いなりになって、相手のペースでこの交渉を続けていったにすぎません。石破政権がこだわったのは合意の中身ではなく、合意の時期でした。とにかく参議院選挙の後に発表を先送りしてほしい。そのようにひたすらトランプにお願いしたんです。

トランプ氏は新たな猶予期間を参議院選挙の後8月1日まで先送りしました。

日にちをずらしただけで日本から満額回答を勝ち取ったんです。石破政権は完全に参議院選挙につけ込まれました。そもそも外交に必要なのは英語でもワインでもありません。国内を掌握する強な政治基盤です。国家を代表して他国の首脳と会談する。

多少の譲歩をしても国内を抑え込むだけの力がなければ首脳同士の直接交渉は成り立ちません。政権基盤が弱い首脳は他国の首脳にそもそも相手にされません。まともに向き合ってもらえず見下されてつけ込まれるだけです。石破総理は去年の総選挙で惨敗し、国民から見放され、内閣支持率は20%台に落ち込んでいます。

少数与党国会に陥り、野党の協力がなければ予算も法律も通すことができない。

自民党内に石破総理を支えるグループも見当たらない。いつ倒れてもおかしくはない政権となっています。強い政権でなければトランプに立ち打ちできないことは最初から分かっていましたけれども、マスコミは石破政権にとって都合の悪いことは報道しません。

外交力のない石破政権については報じてきませんでした。逆に石破総理の上滑りする言葉をただただ垂れ流してきたにすぎません。結局石破政権はトランプ政権に見下され、水面下で一方的な情報を繰り返しました。その末路が今回の不平等条約と思われる合意です。

石破総理は私たち国民に向かっては難解な言葉を並べ立て不平等条約を飲まされた実態を隠し続けています。NHKの石破インタビューによると、

石破総理のことばとして、まずは完全にきちんと目度をつけ日本の存続や繁栄につなげることをやり遂げるのが責任の取り方だ。と紹介しています。

日米合意を着実に実行していくことが大切で、このために私心を持たず国民のため国の将来のために自分を滅してやる。と述べています。

言ってることとやってることが真逆ではないかと思われます。

1番大事なのは国益だ。自分自身のことを考えれば色々な判断があるが、行政の最高責任者としては自身の思いは抑えなければならない。日米合意の責任を果たすため自分の思いを抑え、総理の座にとまらなければならない。と言っているのです。国益を考えるならば、どうしてこのような不平等な合意をしてしまったのかと思わせられます。

実際のところ、国益を損っているのは石破総理です。

アメリカのハワード・ラトニック商務長官は、「関税だけでは貿易赤字を解消できない。そのために投資を考えた」と述べています。この度の日米交渉における合意内容な以下のようなものです。

・日米投資基金を設立する。

・アメリカ側の求めに応じて、日本側が5500億ドル(80兆円)を投資する。

医薬品、ガスパイプライン、半導体など様々な分野に日本側が資金を提供する。

・それで生まれた利益は、アメリカ側が90%、日本側が10%の割合で分け合う。

というものでした。アメリカ側の求めに対して、資金は日本側が提供し、さらに生まれた利益はアメリカが9割、日本側が1割の割合で分け合うというものです。これは明らかな不平等条約と言えるのではないでしょうか。