1。『創世記』という書名。
(1)ヘブル語聖書では、書き出しの語句「ベレーシース」(初めに)。
(2)ギリシャ語訳聖書では、「ゲネシス」(創世記)。内容から付けた表題。
日本語訳(近代語訳聖書)はギリシャ語訳の方を使っている。
–
2。内容。
(1)見出し語による区分。「トーレドース」(11ヶ所)。一「創世記の内容」参照。
「トーレドース|=由来、系図、歴史、経緯。「誰々のトーレド・-ス|で始まる記述において、その人とその家族、子孫のことが記される。
神が約束された祝福を受け継いでいく人々をたどっていくが、⑦「イシマエルト、
⑨、⑩「エサウ|(エドム)はその祝福を受け継ぐ人々の中には入っていないが、主はイシマエルに対しては、これを大いなる国民とする、と約束された(21:18)。
① 2:4「天地創造の由来」、
② 5:1「アダムの系図」、
③ 6:9「ノアの系図」、
④10:1「ノアの子、セム、ハム、ヤペテの系図」、
⑤11:10「セムの系図」、
⑥11:27.「テラの系図」、
⑦25:12「イシマエルの系図」、
⑧25:19「アブラハムの子イサクの系図1、
⑨36:1・「エサウ、すなわちエドムの系図」、
⑩36:9「エドムびとの先祖エサウの系図」、
⑪37:2「ヤコブの子孫」。
イスラエルの父祖たちの系譜をたどることを目的としてまとめられている。
「すべてこれ・らはイスラエルの十二の部族である」(創世49:28)。イスラエル
の十二部族の父祖たちがエジプトに移り住む所までを記す。
創世記のアウトラインは以下のようになります。
世界と人間の創造。人間の堕落。選民の祖である族長たちの歴史を記し、ヤコブのエジプト下りまでの、イスラエル民族形成に至る前史を記しています。
重要な教え。
(1)神による天地の創造(1:1~)。
(2)神のかたちとしての人間の創造(1:26、27)。
(3)父母を離れて一体となる男と女(2:24)。
(4)人間の堕落とその結果(3:1~)。
(5)原福音(3:15)。
(6)アダム(2:16、17)、ノア(9:1~)、アブラハムに対する契約(17:1~)。
(7)神の摂理(45:5)。
アウトラインは以下のようになります。
1 1:1~11:26 天地創造~バベルの塔。
①1:1~2:3 天地創造と人間の創造
御言葉による万物の創造。神は見て、良しとされた。人を神のかたちに創造して祝福され、地に満ちることと、地を従わせることをお命じになった。
②2:4~4:26 もう一つの創造記事
人間を中心とした記述。土のちりで造られ、命の息を吹き込まれた人間。
命の木と、善悪を知る木。善悪を知る木からは取って食べてはならない。主は、男と女とをー体になるべきものとして造られた。
堕落の結果、産みの苦しみと労働の苦しみが姶まった。また、カインによるアベル殺害という悲惨な出来事が起こった。
③5:1~6:8 アダムの系図と人類の罪の増加
人が地に増えると共に悪がはびこり、主は人を地から一掃することを決断される。
④6:9~9:28 ノアの箱舟と洪水。
主は、正しく歩むノアと契約を結ばれ、ノアとその家族の命を保たれた。そして洪水後、再び地に満ちよと命じられた。主はノアと子孫に対して虹の契約を結ばれ、再び洪水によっては地を滅ぽさないと約束された。
⑤10:1~11:26 ノアの子孫とバベルの塔の出来事
氏族と言語に従って各々の国に住む民。その原因となー、たバベルの塔の事件。人間の高慢がもたらした混乱と離散は罪の抑制のためでもある。人の寿命の半減。
2 11:27~50:26 族長時代。
⑥11:27~25:18 アブラム
主はアブラムを召されi彼とその子孫とにカナンの地を与える祝福を約束された。
神の祭司メルキゼデクの登場。
主を信じて義と認められたアブラハム。イサクをささげることをもいとわず、改めて祝福の約束をうける。
モアブ人、アンモン人の由来と関係。
⑦25:19~26:35 イサク。
エサウとヤコブの誕生。長子の特権を軽んじたエサウ。
主はアブラハムのゆえにイサクを祝福し子孫を増すことを約束された。
⑧27:1~36:43 ヤコブ。
祝福を横取りするヤコブ。ラバンのもとへの逃亡の途中、ベテルにおいて祝福の約束をうける。ラケルとの出会いと結婚。
神の御使いと格闘し、イスラエルという名を与えられ祝福される。
ヤコブの十二人の子らの誕生。ラバンのもとを去りベテルで再び祝福される。
⑨37:・1~50:26 ヨセフ。
ユダにまつわる出来事。
エジプトに売られるが主の摂理的導きによりエジプト全国のつかさとなる。
人には隠されているがー定の年月が過ぎた後で、神はすべてを導き、その計画を実現されることがわかる。
イスラエルの十二部族の父祖であるヤコブの子らに対する祝福。
創世記は、旧約聖書の最初の書であり、神による宇宙、地球、人類の創造から始まり、人類の堕落、ノアの洪水、バベルの塔の物語など、初期の人類史を語ります。創世記はまた、アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフといったイスラエルの先祖の物語も含んでいます。
主な出来事は以下の通りです。
- 創造: 創世記では、神が6日間で天地を創造し、7日目に安息日を設ける様子が語られています。人類は神の「かたち」を持って創造され、アダムとイブはエデンの園に置かれます。
- 人類の堕落: アダムとイブは、悪と善を知る禁断の木の実を食べるという罪を犯し、結果としてエデンの園を追放されます。これが人類の堕落という概念の始まりであり、罪と死が世界に入り込むことになります。
- カインとアベル: アダムとイブの子であるカインは、弟のアベルを嫉妬から殺害し、神から呪いを受けて放浪者となります。
- ノアの洪水: 人類の悪が増す中で、唯一義人であったノアと彼の家族を選び、ノアに箱舟を建造するよう命じます。神は大洪水を引き起こし、地球上のすべての生き物を滅ぼすものの、ノアと彼の家族、箱舟に乗せた動物たちは生き残ります。
- バベルの塔: 人類が一つの言語を話す時代に、彼らはバベルの塔を建設しようとします。しかし、神は彼らの言語を混乱させ、彼らを地球上のさまざまな地域に分散させます。
- アブラハムと神の契約: 神はアブラハム(当初はアブラム)に、彼の子孫を大国にし、彼らに祝福を与えるという約束をします。アブラハムはその信仰によって義とされ、神との契約が成立します。
- イサク
- イサクとヤコブ: アブラハムとサラの息子イサクは、神の約束の子孫として継承者となります。イサクは妻レベッカとの間に双子のエサウとヤコブをもうけます。ヤコブは、兄エサウから長子の権利を得るために策略を用い、後に神との闘いを経てイスラエルという名前を与えられます。
- ヤコブの12の息子とヨセフの物語: ヤコブの12人の息子はイスラエルの12部族の始祖となります。彼らの中で最も重要なのが、ヤコブの愛する息子ヨセフです。ヨセフは兄弟たちから嫉妬を受け、エジプトに売られて奴隷となりますが、神の導きによってエジプトのファラオの側近となります。
- ヨセフの兄弟たちとの再会: エジプトで飢饉が起こると、ヨセフの兄弟たちは食糧を求めてエジプトにやってきます。ヨセフは彼らに自分の正体を明かし、家族と和解します。最終的に、ヤコブとその家族はエジプトに移住し、神の約束の継続が保証されます。
創世記は、神と人類との関係の始まりや、神の選んだ民であるイスラエルの歴史の根源を描いています。神の約束、信仰、家族の物語がこの書の中心テーマとなっており、後の聖書の物語に根ざした重要な土台となっています。
創世記は、以下のようないくつかの追加的な物語やエピソードを含んでいます。
- タワー・オブ・バベル(バベルの塔): 人類が高い塔を建設し、天に達しようとする物語です。しかし、神が彼らの言語を混乱させて国々に分散させることで、彼らの試みが失敗に終わります。この話は、言語や民族の多様性の起源を説明しています。
- アブラハムとロトの分離: アブラハムと甥のロトは、家畜の飼育による資源の競合を避けるために分かれることになります。ロトはソドムに住むことを選びますが、後にソドムとゴモラが神によって滅ぼされることになります。
- ソドムとゴモラの滅亡: 神は、ソドムとゴモラの悪行に対して、硫黄と火を降らせて両都市を滅ぼします。アブラハムの甥ロトとその家族は、神の使者に助けられ、町を脱出します。しかし、ロトの妻は後ろを振り返ったため、塩の柱に変わります。
- ヤコブとエサウの関係: 双子の兄弟ヤコブとエサウは、出生時から対立していました。ヤコブは、エサウの飢えを利用して彼から長子の権利を取り上げ、後に父イサクの祝福を得るために母レベッカの助けを借りて詐欺を働きます。その結果、エサウはヤコブに報復しようと考え、ヤコブは逃げることを余儀なくされます。
- ヤコブの夢: 逃亡中のヤコブは、神の天使が昇り降りする梯子を夢に見ます。神はヤコブに、彼の子孫に土地を与え、大いなる国民を成すという約束をします。ヤコブはこの場所をベテルと名付け、神に仕えることを誓います。
創世記は、神の選んだ民であるイスラエルの起源や、神と人類の関係に関する重要なテーマを扱っています。