出エジプト記は、『旧約聖書』2番目の書で、次の三つからなるイスラエル民族成立史を内容とするものです。

(1)エジプトからの脱出を指導したモーセの誕生、奇跡的守護、召命。エジプト王との交渉、エジプトへの多くの災禍、過越祭(すぎこしのまつり)の由来、そして紅海の奇跡による脱出に成功。

(2)モーセ集団への神の導き、神の山でモーセ妻子と岳父の祭司エテロと再会。

(3)シナイ山における神の顕現、契約と十戒によるヤーウェ信仰を基盤にしたイスラエル宗教共同体の確立。

本書は紀元前10世紀末のヤーウェ資料、それから前760年ごろのエロヒム資料と前6世紀の祭司資料の複雑な融合からなっている。ことに紅海の奇跡によるエジプト脱出とシナイ契約は本書の二大テーマであり、それは歴史における神の救済信仰を生み出し、ユダヤ教およびキリスト教の信仰の根幹となる。またモーセの十戒(22章)は、現在も多くの人々の日常生活の倫理的規範になっています。

出エジプト記は、旧約聖書の第二書であり、モーセ五書の一部です。この書はイスラエルの民がエジプトからの解放、彼らの荒野での経験、そして神との契約の確立に関する物語を語っています。出エジプト記は以下の主要なテーマを含んでいます。

  1. イスラエルの民のエジプトでの苦難: 出エジプト記は、イスラエルの民がエジプトで奴隷として苦しんでいる様子から始まります。彼らはエジプト人によって虐待され、過酷な労働に従事させられていました。
  2. モーセの誕生と呼び出し: 出エジプト記はまた、モーセがエジプト人の家庭で育ち、後に神からイスラエルの民をエジプトから導く指導者として選ばれる物語も語ります。神は燃える柴の奇跡を通してモーセに現れ、彼にエジプトのファラオにイスラエルの民を解放するよう命じるよう求めます。
  3. 十の災い: ファラオがイスラエルの民を解放することを拒否するため、神はエジプトに十の災いを送ります。これらの災いは、エジプトの神々に対する神の優越性を示すものでした。最後の災い、長子の死により、ファラオはついにイスラエルの民を解放することを決定します。
  4. 過越の祭り: 長子の死に際して、神はイスラエルの民に過越の祭りを始めるよう命じます。この祭りでは、選ばれた家畜の血を家の入り口に塗り、神が長子の死の災いをもたらす際にイスラエルの民を見過ごすようにします。過越の祭りは今日まで続いており、ユダヤ教徒にとって重要な宗教行事です。
  5. 紅海の分かれる奇跡: イスラエルの民がエジプトを脱出する際、神は紅海を分ける奇跡を起こし、彼らが安全に通過できるようにします。エジプト軍が彼らを追跡してきましたが、イスラエルの民が通過した後、神は紅海をもとに戻し、エジプト軍が海に飲み込まれるようにします。この奇跡は、神がイスラエルの民を守り、彼らの敵に勝利する方であることを示しています。
  1. 荒野での経験: エジプトを脱出した後、イスラエルの民は40年間荒野をさまよいます。この期間中、彼らは神から食べ物(マナ)と水を受け取り、神が彼らを導くために昼間は雲の柱、夜間は火の柱を送ります。しかし、イスラエルの民はしばしば不信仰であり、彼らは金の子牛を作って偶像礼拝を行うなど、神に対して不忠実な行為を犯します。
  2. シナイ山での契約と十戒: イスラエルの民がシナイ山に到着すると、神はモーセに山に登らせ、イスラエルの民との契約を結びます。神はモーセに十戒を授け、これらの法律が彼らの共同体の基盤となるよう指示します。十戒は、イスラエルの民が神と他の人々との関係において守るべき基本的な道徳的原則を示しています。
  3. タブナクルの建設: 出エジプト記の終わりには、神はイスラエルの民にタブナクル(会見の幕屋)を建設するよう指示します。タブナクルは、神の臨在がイスラエルの民と共にあることを象徴する移動式の聖所です。イスラエルの民はタブナクルを通して神に仕え、祭司が神との仲介者として働くことができました。

出エジプト記は、神がイスラエルの民を導き、彼らとの関係を築く方法を示す重要な物語です。また、この書はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の信仰者にとって、神の救いの力と、神との契約関係の重要性を示すものとなっています。

出エジプト記は、神とイスラエルの民との関係の深化を描いています。以下は、出エジプト記でのいくつかの重要な出来事です。
  1. 神の奇跡によるエジプトの支配者への懲罰: モーセはエジプトのファラオに対し、神の名においてイスラエルの民を解放するよう求めます。ファラオが拒否すると、神はエジプトに10の災いをもたらします。これらの災いはエジプトの神々に対する神の優越性を示すとともに、イスラエルの民を解放するための圧力をかけます。
  2. 過越の祭り: 最後の災いである長男の死に対処するため、イスラエルの民は神から過越の祭りを実施するよう指示されます。彼らは家の入口に羊の血を塗り、神がエジプトの長男を殺す際に、彼らの家を通り過ぎるようになります。過越の祭りは、後にイスラエルの民によって毎年行われる重要な宗教行事となります。
  3. イスラエルの民の反抗と不信仰: エジプトを脱出したイスラエルの民は、荒野での40年間の旅の間に繰り返し神に対する不信仰と反抗を示します。彼らはしばしば神の指示に従わず、代わりに自分たちの欲望に従って行動します。しかし、神は彼らに対して忍耐強く、彼らが成長し、信仰を持つことを望んでいます。
  4. 水の奇跡: 荒野での旅の間、イスラエルの民は飲み水がなくなると、神とモーセに不平を言います。神はモーセに岩を打つよう指示し、そこから水が流れ出てイスラエルの民の渇きを潤すことになります。この奇跡は、神がイスラエルの民のニーズを知り、彼らを助けることができることを示しています。
  5. クイールでの争い: イスラエルの民が荒野で進む途中、彼らはクイールでアマレク人と戦うことになります。