1。『ヨシュア記』という書物

1)旧約聖書の中での位置

ヘブライ語聖書では、ヨシュア記、士師記、サムエル記、列王記は、正典第二部「預言者」の①「先の預言者」に属します。(②「後の預言者」はイザヤ書、エレミヤ書、エゼキェル書、十二小預言書)。キリスト教では、モーセ五書に続く歴史書の最初の書として位置付けられています。

2)ヘブライ語名「イェホーシュア」(ヤハウェ(主)は救い)。

ギリシヤ語七十人訳「イェースース」(「イェス」のギリシヤ語)。

3)著者

①ユダヤ教の伝承ではヨシュアとされてきた。

ヨシュアの死後、エレアザル、ピネハスによって完成されました。

イスラエルはヨルダン川を渡り、主の契約の箱の前で水が止まったことを記念して、ギルガルに12の石を立てました。ヨシュアは民に割礼を施し、カナンで初の過越祭を行いました。その後、マナは降らなくなりました。

カナンの征服では、中央部から始まり、エリコとアイを占領し、エバル山で律法を朗読しました。南部地方では、エルサレムやヘブロンなどの王たちに勝利し、主が戦ってくれたおかげで太陽が空に留まりました。北部地方では、ハゾルの王とその同盟軍に勝利しました。

ヨシュアは出エジプト後の民に割礼を施し、カナンで過越の祭りを行い、翌日からその地の産物を食べました。その後、カナン地方の征服が行われ、さまざまな戦いと勝利が続きました。その中で、ヨシュアは主の命令に従って都市を占領し、祭壇を築き、律法を石に書き写しました。次に、カナンの上地が分割され、各部族の土地が割り当てられました。しかし、実際に完全に占領して支配するまでには長い年月が必要でした。最後に、逃れの町とレビ人の町が与えられ、ヨシュアの告別説教やシケムの契約が行われました。ヨシュア記には古い資料と王国分裂後の記述が混在しており、周辺民族との攻防や政治状況の変化によって書き換えや補足が行われています。

主な指針

(1)モーセに約束された主の約束が強調されているが、カナン征服は一度に完了していない。一部はくじで分配され、一部の住民は追い出せず士師の時代に続く。
(2)敵をすべて滅ぼし、主に捧げることが求められる。主への奉納物は神の独占物で、戦利品として取ってはいけない。
(3)主の律法を守り、真実に仕え、エジプトやカナンの神々に仕えてはいけない。
(4)重要な宗教行事として割礼、過越の祭り、律法の朗読、契約更新が挙げられる。
(5)主がヨシュアと共にあり、イスラエルのために戦うことが示される。
(6)その他の要素として、主の軍の将軍、日が中天に留まること、アコルの谷が言及されている。

ヨシュア記は旧約聖書の一部で、モーセの後継者であるヨシュアがイスラエルの民を導いて約束の地カナンを征服する物語が描かれています。ヨシュア記は、以下の主要なテーマや出来事を含んでいます。

  1. カナン征服: ヨシュアがイスラエルの民を率いて、カナンの地を征服する様子が詳細に描かれています。これには、エリコとアイといった都市の戦いや、南部と北部の連合軍との戦いが含まれます。
  2. 地の分配: 征服したカナンの地が、イスラエルの12部族に分配される様子が記述されています。また、レビ人のための都市や避難都市の設定も説明されています。
  3. モーセの約束の実現: モーセに約束された主の約束が、ヨシュアの指導のもとで実現されることが強調されています。
  4. 主との契約の更新: ヨシュアがイスラエルの民に、主との契約を更新するように促し、彼らが律法を守り、偶像崇拝を避けることが求められます。
  5. 主の助けと導き: ヨシュア記全体を通じて、主がヨシュアとイスラエルの民と共におり、彼らを助け、導くことが強調されています。

ヨシュア記は、イスラエルの民が約束の地を征服し、主との契約を守ることによって祝福を受ける物語として、信仰と従順の重要性を示しています。

  1. ヨルダン川の渡河: ヨシュアとイスラエルの民がヨルダン川を渡る奇跡的な出来事が記述されています。神がヨシュアをモーセの後継者として認め、民に信頼させるために行われた奇跡です。
  2. エリコの壁の崩壊: エリコの都市を攻略する際の奇跡的な出来事が描かれています。神の指示に従ってイスラエルの民がエリコの城壁を7日間周回した後、ラッパを吹いて城壁が崩壊しました。
  3. アカンの罪: エリコの戦いで戦利品を持ち去ったことで、アカンが罪を犯し、イスラエルがアイとの戦いで敗北する原因となります。この出来事は、神への従順と罪の重要性を教えています。
  4. ギベオン人との同盟: ギベオン人がイスラエルとの同盟を結ぶために偽りを用いた出来事が記述されています。後に、イスラエルがギベオン人を助けるために南部連合軍と戦うことになります。
  5. 日が止まる奇跡: 南部連合軍との戦いの最中、ヨシュアが神に日を止めるように祈り、神が太陽と月を停止させてイスラエルに勝利をもたらす奇跡が描かれています。
  6. カナンの地の征服の完了: 北部連合軍を破った後、イスラエルはカナンの地の征服をほぼ完了し、神が約束された土地を手に入れます。ただし、完全な征服は果たされず、未征服の地域や住民が残ります。
  7. ヨシュアの死と遺言: ヨシュアが高齢で死に近づくと、彼はイスラエルの民を集め、主との契約を更新し、偶像崇拝を避けるように促します。
  1. 神の約束の信頼性: ヨシュア記は、神がイスラエルに与えられた約束の土地を提供することで、神の約束が確かであることを示しています。これは、イスラエルの民が信仰と信頼を持ち続けることの重要性を教えています。
  2. 従順と祝福の関係: ヨシュア記では、イスラエルの民が神の指示に従うことで勝利や祝福を受けることが繰り返し示されています。これは、従順な信仰生活が神からの祝福につながることを教えています。
  3. 選ばれたリーダーの役割: ヨシュアは、神に選ばれた指導者として、民を導く責任が与えられました。彼のリーダーシップは、神が与える指導者を信頼し、従うことの重要性を示しています。
  4. 神の力と主権: ヨシュア記では、神がイスラエルの民を奇跡的に助け、カナンの地を征服する力を持っていることが示されています。これは、神がすべての事柄において力強く、主権を持っていることを教えています。
  5. 偶像崇拝の危険性: ヨシュアはイスラエルの民に、カナンの地の神々に仕えず、偶像崇拝を避けるように警告しました。これは、偶像崇拝が信仰生活に対する脅威であり、神の怒りを招くことを示しています。
  6. 神の教えの尊重: エバル山での律法の朗読やシケムでの契約更新など、ヨシュア記はイスラエルの民が神の教えを尊重し、維持することの重要性を示しています。

これらの教えや出来事は、ヨシュア記がイスラエルの歴史と信仰において重要な役割を果たしていることを示しています。