1.『レビ記』という書名。

(1) ヘブライ語名「ヴァイクラー」(さて、彼(主)は~を呼んで)。

「主はモーセを呼び」(1:1)。書き出しの語句がそのまま題名。

(2) ギリシャ語名「レヴィティコン」→レビ記

 

2.『レビ記』のおもな内容

(1) 出エジプト記は、荒野の生活において主を礼拝するために必要な幕屋建設の命令とその建設の記事で終わっていました。レビ記は、その後を受けて、民が守るべき礼拝儀式・献げ物に関する諸規定とそれを司る祭司の役割を教えていました。

(2) 出エジプトを通して、主こそイスラエルを選んで奴隷の地から導き出された神であることを主は示されました。「祭司の王国、聖なる国民」(出エジプト19:6)となるべきイスラエルが、主を礼拝し、その御言葉に従って歩むことを主は望んでおられます。そのため、礼拝をどのように献げるべきか(主に近づくにはどうしたら良いのか)、また、民が過ちを犯し、罪を犯した時に、主の前にそれをどのように償わなければならないかを命じているのがレビ記の律法です。

(3) それは、「あなたたちは聖なる者となりなさい。あなたたちの神、主であるわたしは聖なる者である」(レビ19:2)という命令に要約されていると言えます(Ⅰペトロ1:16参照)。

レビ記は、旧約聖書の一部であり、モーセ五書(トーラー)の第三巻です。ヘブライ語では「ヴァイクラ」(וַיִּקְרָא)と呼ばれ、これは「そして(神が)呼ばれた」という意味です。レビ記は主にイスラエルの民の宗教的な生活と礼拝に関する法律と規則に焦点を当てており、特に祭司の部族であるレビ人の役割と職務に関する指示が記載されています。

以下は、レビ記の主な内容です。

  1. 犠牲の儀式: レビ記の初めの部分では、さまざまなタイプの犠牲の儀式が紹介されています。これには、燔祭、穀物祭、酬恩祭、罪祭、愆祭などが含まれます。これらの儀式は、イスラエルの民が神との関係を維持し、罪からの贖罪や感謝の表明を行うために重要です。
  2. 祭司の役割と職務: レビ記では、アロンとその子孫が祭司としての役割を果たすことが述べられています。祭司たちは、犠牲の儀式を執り行い、神の律法を教え、民が律法に従って生活するよう導く責任があります。
  3. 清めの儀式: レビ記には、さまざまな清めの儀式が記載されています。これらの儀式は、個人や共同体が汚れから清められ、神との関係を回復することを目的としています。例えば、産後の女性やらい病患者のための清めの儀式があります。
  4. 食物の規定: レビ記では、イスラエルの民が食べることが許される食物(清浄な食物)と食べることが禁じられる食物(不浄な食物)に関する規定が示されています。これらの規定は、民が神の律法に従い、神に喜ばれる生活を送るために重要です。
  5. 聖なる祭典: レビ記では、イスラエルの民が守るべき聖なる祭典が紹介されています。これらの
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祭典は、民が神との関係を祝福し、神の業を思い起こす機会を提供します。以下は、レビ記で言及されている主な祭典です。

a. 安息日: 毎週の安息日は、神が創造の仕事を終えた後に休んだことを記念し、民が労働から休息し、神に感謝する時間です。

b. パサハ祭(過越祭): パサハ祭は、エジプトの奴隷制からの解放を記念するために行われる祭りです。家族は特別な食事を共有し、神がイスラエルの民をエジプトから導き出したことを祝います。

c. 無酵パンの祭: パサハ祭に続く無酵パンの祭は、イスラエルの民が急いでエジプトを脱出し、酵母を入れる時間がなかったことを思い出させます。民は1週間、酵母を入れないパンを食べます。

d. 初穂の祭: 初穂の祭は、収穫の初めに、神への感謝と信頼を示すために行われます。民は、最初に収穫された作物を神に捧げます。

e. 七週の祭(ペンテコステ): 七週の祭は、初穂の祭から数えて50日後に行われ、収穫を祝い、神への感謝を捧げます。

f. 日々の犠牲: レビ記では、朝と夕方に日々の犠牲が行われることが述べられており、これは民が神に対する絶え間ない信仰と感謝を示す機会です。

g. 罪の赦しの日(ヨム・キプル): 罪の赦しの日は、イスラエルの民が過去1年間の罪を悔い改め、神の赦しを求める特別な日です。この日は断食と祈りに費やされ、神が民の罪を赦すことを祈ります。

h. 仮庵の祭(スコット): 仮庵の祭は、イスラエルの民が荒野での40年間の放浪を記念し、神が彼らを導いたことを祝います。民は一時的な小屋(スカ)に住み、神がイスラエルの民を荒野で保護し、彼らを約束の地へ導いたことを思い出します。この祭りは収穫を祝う要素も含まれており、神への感謝を表します。

  1. 隔年律法: レビ記25章では、隔年律法に関する指示が述べられています。これには、7年ごとの安息年と、50年ごとのヨベル(ジュビリー)年が含まれます。安息年では、土地を休ませ、貧しい人々に食べ物を提供することが求められます。ヨベル年では、土地が元の所有者に返還され、奴隷が解放されることが求められます。これらの法律は、社会的な公平と経済的なバランスを維持する目的があります。
  2. 律法の遵守と祝福、罰: レビ記の最後の部分では、神が民に律法を遵守することの重要性を強調しています。民が律法を遵守すれば、神から祝福と繁栄が与えられると約束されています。しかし、律法に背いた場合、神からの罰と苦難が与えられることが警告されています。

レビ記は、イスラエルの民の宗教的な生活と礼拝、社会的秩序、神との関係を維持するための法律と規則を提供することで、ユダヤ教とキリスト教の信仰に重要な意味を持ちます。神の律法の遵守が民の繁栄と祝福につながり、神との関係を維持することが強調されています。