エズラ記,ネヘミヤ記,エステル記,ハガイ書,ゼカリヤ書,マラキ書はこのペルシヤ帝国時代のイスラエル民族に関連した記録です.クロス2世によって創始されたアケメネス朝ペルシヤ帝国は,ギリシヤのアレクサンドロス大王とのイッソスの戦い(前333年)やガウガメラ・アルベラの戦い(前331年)での敗戦によって滅亡するまで続いた.エズラ記,ネヘミヤ記,エステル記は,クロス大王からアルタクセルクセス1世(前465-424年)の時代の出来事が中心になっています。
これらの箇所を歴史的に分類すると,エズ1-6章はクロス2世(‐前530年)からカンビュセス2世(一前522年),ダリョス1世(一前486年)までの時代,エステル記はその次のアハシュエロス王(ギリシヤ名クセルクセス1世,‐前465年)時代,エズ7-10章,ネヘミヤ記はその次のアルタシャスタ王(ギリシヤ名アルタクセルクセス1世,‐前424年)時代のことを扱っているといえます.
アウトラインは以下のようになります。
アウトライン
1.ネヘミヤの活動(1:1-6:19)
lネヘミヤの悲しみ(1:1-11)
a.エルサレムの悲惨な現状(1-4)
b.ネヘミヤの祈り(5-11)
2エルサレム再建の願い(2:1-20)
a.王の許可(1-8)
b.実態訓査(9-16)
c,城壁再建の勧め(17-20)
3再建工事と妨害活動(3:1-6:19)
a.工事の分担(3:1-32)
①北側(1-7)
②西側(8-13)
③南側(14)
④束側(15-32)
b.外部からの妨害(4:1-23)
①嘲笑による士気低下の企て(1-3)
②ネヘミヤの祈り(4-6)
③攻撃への対策(7-23)
c.内部の経済・社会問題(5:1-19)
(X)困窮家庭の訴え(l-5)
②債務の免除(6-13)
③ネヘミヤの無私(14-19)
d.城壁の完成(6:1-19)
①ネヘミヤヘの個人攻撃(1-9)
②偽預言者の暗躍(10-14)
③工事の完成(15-19)
2.エルサレムの復興(7:1-10:39)
(1)エルサレム居住者(7:1-72)
a.エルサレム警備(l-5)
b,帰還者名簿(6-72)
(2)霊的復興(8:1-10:39)
a.律法の朗読(8:1-12)
b.仮庵の祭(8:13-18)
c.悔い改めの祈り(9:1-37)
①罪の告白の集り(1-5)
②イスラエルヘの恵み(6-31)
③告白(32-37)
d.契約の署名者(9:38-10:29)
e.契約規定(10:30-39)
3.都市計画(11:1-13:3)
山エルサレムの居住者(ll;1-24)
(2)ユダとペニヤミンの居住地(11:25-36)
(3)祭司とレビ人の名簿(12:1-26)
(4)奉献式(12:27-43)
(5)神殿奉仕者の任務(12:44-47)
(6)外囚人の分離(13:1-3)
4.ネヘミヤの改革(13:4-31)
(1)トビヤの排除(4-9)
ネヘミヤ記は、旧約聖書に含まれる歴史書の一部であり、ユダヤ教のタナハ(ヘブライ語聖書)にも含まれています。この書は、エズラ記と密接に関連しており、しばしばエズラ・ネヘミヤとして一緒に扱われることがあります。ネヘミヤ記は、エルサレムの城壁の再建を描写し、ユダヤ人社会の復興に尽力した指導者ネヘミヤの活動に焦点を当てています。
ネヘミヤは、ペルシャ王アルタクセルクセス1世の宮廷で王の杯を持つ者(宦官)を務めていました。彼は、エルサレムの状況を聞いた後、王の許可を得てエルサレムに戻り、城壁の再建に取り組むことを決心します。ネヘミヤのリーダーシップの下、エルサレムの市民は困難にもかかわらず城壁を再建し、ユダヤ人社会の安全と復興を実現します。
ネヘミヤ記は、以下の主要なテーマを扱っています。
- 神の摂理:神は、ネヘミヤの行動やエルサレムの再建を通じて働いており、ユダヤ人の復興を導いています。このテーマは、神が歴史の背後で働いており、人々の運命を導いていることを示しています。
- リーダーシップと使命:ネヘミヤは、エルサレムの再建とユダヤ人社会の復興をリードする強力な指導者です。彼は困難に立ち向かい、信念を持って行動し、人々を導くことで、共同の目標を達成します。このテーマは、効果的なリーダーシップの重要性を強調しています。
- 社会の再建:ネヘミヤ記は、エルサレムの物理的な再建だけでなく、ユダヤ人社会の精神的・道徳的な再建にも焦点を当てています。このテーマは、社会の復興には物質的な要素だけでなく、信仰や道徳的価値観
ネヘミヤ記は、さまざまな側面から学ぶことができる重要なテキストです。以下に、ネヘミヤ記から得られる教えや洞察をいくつか示します。
- 団結と協力:ネヘミヤ記では、エルサレムの市民が団結して城壁の再建に取り組んでいます。この物語は、共通の目標に向かって協力し、団結することで、困難な課題に立ち向かう力があることを示しています。現代社会でも、協力と団結が重要であることが分かります。
- 祈りと信頼:ネヘミヤは、自分の計画や行動に際して、神への祈りを欠かしません。彼は神を信頼し、神の導きを求めます。このテーマは、信仰者にとって祈りと信頼が重要であることを教えており、神に対する信頼を維持することが重要であることを示唆しています。
- 勇気と決断力:ネヘミヤは、ペルシャ王にエルサレムの再建の許可を求める勇気を持ち、エルサレムに戻って城壁の再建に尽力します。この物語は、困難な状況においても勇気と決断力を持つことの重要性を教えています。現代の人々も、困難な状況に立ち向かう勇気と決断力を持つことが大切です。
- 社会正義:ネヘミヤは、貧困や搾取に苦しむユダヤ人に対して、社会正義を求める姿勢を示しています。彼は、貧しい人々を支援し、不正を是正しようと努力します。このテーマは、現代社会でも、社会正義や公平性を追求することが重要であることを示しています。
- 聖書の権威:ネヘミヤ記は、神の律法(モーセの律法)に従うことの重要性を強調しています。ネヘミヤは、ユダヤ人に律法を再導入し、律法に従う生活を送るよう促します。これは、聖書の権威に聞き従うことが私たちにとっても重要なことであることを教えています。
- 順境と逆境での信仰:ネヘミヤ記は、順境と逆境の両方で神に対する信仰が重要であることを示しています。ネヘミヤは、困難に直面しても神を信頼し続け、神に対する信仰が彼の成功に大きく貢献しています。この教えは、現代の信者にとっても重要であり、人生のあらゆる局面で神を信頼し続けることが大切であることを示しています。
- 責任感:ネヘミヤは、エルサレムの再建とユダヤ人社会の復興に対して強い責任感を持っています。彼は自分の立場と能力を使って、共同体の利益のために働きます。このテーマは、現代の人々にとっても、自分の立場や能力を活かして社会のために責任を果たすことが大切であることを示しています。
- 信仰の継承:ネヘミヤ記では、ユダヤ人が神の律法を再発見し、それに従う生活を送るようになります。これは、信仰と伝統を次世代に継承することの重要性を示しており、現代の信者にとっても、信仰を維持し、次世代に伝えることが重要であることを示しています。
- 敵対者への対処:ネヘミヤ記では、エルサレムの再建に対する敵対者たちの妨害に直面しますが、彼は決定力と信念を持って立ち向かいます。この物語は、敵対者や困難な状況に対処する方法を示しており、現代の人々にとっても、困難な状況や対立に立ち向かう方法を学ぶことができます。
- 神との関係の回復:ネヘミヤ記は、神との関係の回復が重要であることを示しています。ユダヤ人は神の律法に従うことで、神との関係を回復し、神の祝福を受けることができます。
- 悔い改めと赦し:ネヘミヤ記では、ユダヤ人が過去の過ちや罪について悔い改めることで、神から赦しを受けることができます。彼らは神の律法に従い、神との関係を回復することを目指します。このテーマは、現代の信者にとっても重要であり、悔い改めと赦しを通じて神との関係を回復することが大切であることを示しています。
- 社会的誓約:ネヘミヤ記の中で、ユダヤ人は神との新しい誓約を結びます。彼らは神の律法に従うことを誓い、共同体の絆を強化します。このテーマは、信仰共同体における誓約や約束の重要性を強調し、現代の信者にとっても、互いに支え合い、共同体の強化に努めることが重要であることを示しています。
- 神への感謝:ネヘミヤ記では、エルサレムの城壁が完成した際、ユダヤ人は神を讃美し、感謝の祈りを捧げます。このテーマは、神への感謝が信仰の重要な側面であることを示しており、現代の信者にとっても、神への感謝を忘れず、神の祝福や導きに感謝することが大切であることを示しています。
ネヘミヤ記は、歴史的文脈や宗教的テーマだけでなく、個人や社会に対する普遍的な教えを提供しています。現代の人々にとっても、ネヘミヤ記から得られる知恵や洞察は、信仰、道徳、倫理、リーダーシップなど、さまざまな面で適用されることができます。